遺跡か残骸か [道東]
前の記事に引き続き鉄道関係の話題。
それは道東に出張した時のこと。根室管内の標津町から国道244号線で斜里町に向かって車を走らせていた。山道を走り根北峠を越えて下り始めた時、いきなり木々の間から視界に大きなな建造物が飛び込んできた。地図には載っていないローマの遺跡(は大袈裟かな)のような姿に、1時間は踏みっぱなしであったアクセルから慌ててブレーキを踏んだ。「なんだ、なんだ」と近寄ってみるとそこにこの越川橋梁と呼ばれる建物の言われが書かれてあった。
詳しいことは写真の解説に任せるが、要するに使われることなく残された鉄道用の橋である。更に言ってしまえば造った意義のなかった無駄な建築物。壊すのもお金がかかるから、国道を跨いでいる箇所だけ撤去され、他はそのまま放置されて世紀を超えても残ってしまったのだろう。
でもね…深い森の中にそびえ立つ姿は荘厳な雰囲気を醸し出していた。こんなものがあるとは知らなかったので、驚きもあり貴重なものを発見したかのような喜びもあった。
北海道は鉄道が外された地域がたくさんある。他にもこんな遺跡のような残骸があるのかもしれない。有名な観光地よりも、こんな発見の方が遥かに楽しい…気がする。
風は秋色 [道東]
先週、道東(釧路・根室)まで出張してきた。車で途中の山脈に着いた頃には札幌に比べて半歩先を行ったような景色が広がっていた。
紅葉まであと一歩
そんな様子は道東まで続いていた。赤く染まった樹木はなかったが、黄色くなる植物はもうかなり色づき始めている。そして3泊滞在して札幌に帰る日には更に色が黄色く染まっていた。
つい先日まで半袖のシャツを着ていたのに、ここ数週間で一気に晩秋の気配。吹く風は冷たい。
北海道の秋は短い。
ついに目撃 [道東]
先週、道東に出張してきた。今回行ったのは道東でも南側。釧路・根室方面。道東は寒いけど雪が少ないので、札幌から山脈を越えるのは大変だけど、越えて道東に着いてしまえば車の運転は容易い。
冬の北海道にしては快適ドライブで、仕事もサクサク進み、時間ができたのでちょっと思い切って野付半島に立ち寄ってみることにした。ここは以前北海道旅行した時に一番気に入った場所。とにかく原始的なところがいい。人間臭さのない自然に神秘的な雰囲気が漂う。日常から解放されるのに最適な場所。
ここで期待していなかった幸運が!
前2年、網走まで行ったのに、見たくて見られなかった流氷!
欠片だったけど…あった!!
ちなみに数日前まではびっしりと海を覆っていたらしい。まぁ、3年かかって取り敢えず見られたのだから不満は言うまい。
プロペラ回って空飛んで [道東]
今日、道東まで日帰り出張してきた。
行き帰りは飛行機。新千歳空港から根室・中標津空港の往復。片道1時間かからないけど、車だったら8時間くらいかかる距離。
この路線の飛行機はプロペラ機。初めてプロペラ機に乗ったけど、小さくって何だか頼りない。でもこんなローカル路線の旅(出張なんだけどね)もたまにはいいかも。
東へ! (後篇) [道東]
朝、起きてすぐホテルの窓のカーテンを開けてみてビックリ!
すっげ~霧!!
これじゃぁ、何も見えやしない。この日限りの観光客にとっては最悪の仕打ちである。何も見えなくても、このまま札幌に戻る訳にはいかない。こちとら、この街に来るのは最初で最後くらいの心づもりなんである。
8時にホテルをチェックアウトして、向かった先は昨日列車から降り立った根室駅。ここの目の前にバスターミナルがあって、8時25分発の地元バス会社の観光バスに乗るためである。ちょっと朝早過ぎる気もしたが、1日1便しかないので仕方ない。コースはAとBがあり、Aは納沙布岬を回ってくるルート。Bは花咲方面と風蓮湖を回ってくるルート。Aが終わって一度駅前に戻り、すぐBルートに出発するため、続けて乗れば根室半島の大概の見所は押さえられる。僕はAB両方行くことにした。客は結構集まり、小さめのバスに30人くらいが乗り込んで出発。
それにしても霧、霧、霧。
こんな中でもバスの運転手がタンチョウ鶴を発見し、停車してくれたお陰で、道東ならではの光景を目にすることができた。
納沙布岬にはたいした時間もかからず到着。『四島のかけ橋』のモニュメントが出迎える。これが何しろデカイ。
正直なところ、宗谷岬に初めて立った時のようなはしゃぐ気持ちは沸いてこない。なぜなら宗谷岬は「日本最北端の地」であることを売りにしているが、納沙布岬にはそんな浮かれた文句はほとんど見当たらない。あるのは
北方領土返還
ばかりである。先の『四島のかけ橋』にしても北方領土の四島のことである。そんなスタンスなので、ここが日本最東端なんてことは口が裂けても言えない。最東端はロシアに占領されている場所にあるのだ。したがって納沙布岬は北方領土を意識する場所という認識である。(ただし本土最東端と書かれた碑はあった)
霧がなければ北方領土になっている歯舞諸島がわずか3.7キロ先に見えるらしいが、残念ながら霧に阻まれてしまった。
バスの出発時間となり納沙布岬を後にした。コースはこの先北方原生花園を通って金刀比羅神社に寄って駅に戻る。神社に着く頃に、霧が晴れてきた。もう一回納沙布岬に戻りたかったが、無理な注文。まぁ、こんなもんである。
Aコースが終わると多くの客が降りて、残ったのは10名足らず。天然記念物の『花咲灯台車石』や風蓮湖でバードウォッチングをしたりと楽しい時間を過ごし、
13時40分に根室駅に戻ってきた。13時50分発の列車に間に合わせるためのスケジュール。それを逃せば次の列車は約2時間後。僕もこの列車に乗り込み、特急が待つ釧路に向かった。
釧路での乗り換え時間は僅か4分。トイレに行く暇もない。飛び乗った特急おおぞらで「ゆっくりできる」と胸をなで下ろしたのだが、途中で車両に問題が出て立ち往生。札幌に到着したのは予定から1時間近く遅れた夜の9時であった。
鉄道は満喫できたけど、疲れた。
…とりあえず最北端と最東端は制覇…
東へ! (前篇) [道東]
連休を利用して、思い切って根室へ出かけた。
思い切ってとは大袈裟なと思われるかもしれない。しかし札幌を起点にした場合、一番と言っていい位に道内では遠い街。鉄道を利用した場合、片道6時間以上かかるのである。
根室って、そこまでして行きたい場所かと問われると大した理由ではないので困るのだが、最北端の宗谷岬に行ったからには最東端の根室にある納沙布岬に行ってみたくなったのだ。理由はただそれだけ。別に他に見たいものなんてある訳ではない。でも行きたかったのである。
運悪く、出発の前日まで網走に出張しなくてはならず、疲れて札幌に帰って一晩寝たらもう根室に出発。もちろんこちらは仕事ではないので、とにかく札幌発の特急『スーパーおおぞら』に乗ってしまえば、あとはのんびり釧路まで。問題と言うか、辛いのはそこからで、釧路から根室までは特急はないので各駅停車に2時間以上乗車しなくてはならない。
まぁ、鉄道の旅は好きだし、一度限りならってことで9時4分発の特急に乗り込んだ。
天気も良く晴れやかな景色の中、山脈を越えてひたすら東へ向かって列車が行く。
13時3分、釧路に到着。ここで根室に向かう各駅停車に乗り換え。予想通り一両編成の超ローカル線。これが13時11分発。煙草を1本吸って、缶コーヒー1本飲んだら出発。
北海道も仕事でいろんな場所に行っているが、この花咲線の景色ほど人間の気配が少ない場所は珍しい。見えるのは森、湿原、原野、ちょっとだけ海…。いくら自然豊かな北海道でも、視界のどこかに牧場や畑が見えるものなのだが、そんな光景もごく僅か。次第に意識から日常が抜けていく。
実は終着の根室駅は日本最東端の駅ではない。そのひとつ前の東根室駅が日本一東にある駅。線路は東根室から大きく西北の方向にカーブして根室に向かうのである。列車が東根室に着いた途端、多くの乗客が片側の窓に寄って、その立て看板をカメラで撮影している。僕も当然パシャリ。
ようやく根室に着いたのは定刻の15時28分。実に札幌を出てから6時間24分経っていた。
ここで遅い昼飯を食べるため、ガイドブックに載っていた店に行き、根室っ子のソウルフード(?)であるエスカロップを注文。バターライスにカツがのっていて、それにデミグラスソースがかかっている食べ物。B級グルメだが、それなりに美味しい。
食後は港町をブラブラ。嘗ては賑わっていたようだが、今はそんな活気は感じられない。
哀愁漂う港町を歩いて一日目は終了。
実は順調だったのはここまで。翌日は予想外の事態が待っていた…
(つづく)
流氷見に(いや、もとい!)仕事で網走に行って来た [道東]
先週(2月24日~26日)、昨年見ることができなかった流氷を見に…いやいや、仕事で網走まで出張してきた。
会社の車で札幌から山を越えて北見まで約4時間。初日は北見で仕事に専念。そして翌25日、いよいよ網走へ向かった。北海道に来たからには一度は見てみたい流氷。アクセル踏む右足にも自然と力が入る。しかしここ数日北海道は春のような陽気が続いている。道路も雪解け水で川のよう(ちょっと大袈裟だったかも?)。
こんなんで流氷は大丈夫か?
と、走りやすくなった道路は良かったけど、肝心な流氷の方が心配になってくる(いやいや、一番肝心なのはあくまで仕事ですよ)。
網走市街に入る前に、小高い山(天都山)の展望台から海の様子を確認することにした。
階段を駆け上れる程若くはないが、気持ちだけは先へ先へ向かっていく。
そしていよいよ展望台。
…スッカラカン!
また今年も空振り。もう
ぐぁ~っかり
である。落胆が大きかったためか、仕事をしようという気も失せ(オイオイ)、仕方がないので展望台に併設されている『オホーツク流氷館』に入ってみた。
ここの目玉は本物の流氷が置いてある「流氷体験室」。氷点下15℃の冷凍室で流氷の欠片が展示されている。何だか凄そうだけど、実際は大きな氷の塊がゴロゴロしているだけである。
入る前に渡されたタオルをブンブン振り回すとタオルが凍った。まぁ、そんな体験のできる施設である。あとは流氷の下にいる生物が少々いた。お馴染みのクリオネはお馴染み過ぎて面白くもないが、フウセンウオはなかなか愛嬌があり思わずカメラでパチリ。
まぁ、そんなことで気を紛らわせてみたが、ガッカリはガッカリである。
昼食は流氷観光船の発着場でもある網走の道の駅で。ここのレストランは名物「流氷カレー」がある。悔しいのでこれを食べてみることにした。
あり得ないような青いカレー。でも見た目ほど変わった味ではなく、やや甘口。
昼食が終わっても仕事をするモチベーションは上がらず、『網走監獄博物館』や能取岬に行ってしまい観光三昧でこの日は終わり。
翌日は札幌に帰らねばならない。網走より北に行けば流氷があるかと僅かな期待を胸に、予定にはない紋別まで行ってみたが…
ここもスッカラカン!
残念ながら流氷は来年に再々チャレンジする羽目になってしまった。それにしても…
少しは仕事しろ!
網走出張記(2度目) [道東]
先週、また網走まで出張してきた。北海道の雪もだんだん減ってきて、春が近づいている。今回は快適に辿りつけるかと思い、前回に比べたら余裕で一路道東へ。
目的は仕事なのだが、裏の目的は流氷である(どっちが裏なんだか?)。何としても見たい。そんな気持ちが後押しして、多少無理なスケジュールもなんのその。
網走までの道すがらで簡単な用事を済ませ、いよいよ網走到着。早速海に行ってみると…
ない!
流氷のひとかけらも浮かんでいない。そこには荒れた寒々しい海の光景。がっかりである。
すっかりテンションが低くなったところで、知床の入口の町、斜里へ向かった。海沿いの道をひた走ると、線路が並行して続いているのに気がついた。そして小さな駅を発見。何だか雰囲気良さそうなので、ちょっと寄ってみることにした。
ここは釧網線の北浜駅。無人でホームはひとつだけ。そして駅の向こう側はすぐオホーツク海。駅員はいないが、駅舎の中に喫茶店が入っている、ちょっと変則的な無人駅である。
駅舎の横に中国語の看板があった。中国映画のロケ地になった様子。中国語の看板が置いてあるからには、中国人がわざわざ映画のロケ地巡りに訪れるということなのだろう。映画の影響力は計り知れない。
ちょっと失礼してホームに入ってみた。しかしオホーツク海からの風が凍てつくようで長いこと立っていられない。
駅舎の横に展望台があったので当然登ってみた。
↑ 網走方面
↑ 斜里方面
これで流氷があったら最高のロケーションなのに、と残念に思う余裕がないくらい寒い。写真を慌てて2枚撮ったところですぐ退散。
「流氷見に来年またここに来よう」と誓ったのだが、僕は来年も北海道にいるのだろうか?
網走出張記 [道東]
先週後半、網走方面まで出張した。初めは山岳地帯を抜けて道東へ行くことにためらいがあったが、後輩のT君が「道東は雪少ないッスよ」と軽く言ってくれたので、思い切って出掛けることにした。
1日目は早朝に札幌を出発し、一気に遠軽町まで。そこで仕事してから網走市でまた仕事。最後は北見市まで行って1泊。2日目は北見市でたっぷり仕事をしてから旭川市へ戻り2泊目。翌日旭川でチョロッと仕事してから札幌に帰る予定を組んだ。特に1日目はハードスケジュールで、車での走行距離は400キロを超えるもの。高速道路より一般道の方が多いので、果たしてどこまでできるのか。
朝7時に札幌を出るつもりであったが、車に積もった雪を降ろすだけで一苦労。いきなり躓くも7時半には出発。始めは順調だったが、砂川~滝川の辺りで凄い雪が降ってきた。前は10メートル先くらいまでしか見えない。この前の留萌で経験しているとはいえ怖いものは怖い。ひたすら前の車の後を付いていくも、旭川で高速を降りてしまったので、ここからはなにも頼れずひたすら進む。そのうち前の大型トレーラーに追いついてしまい後を行くも、これが道の雪を巻き上げるので、前が全く見えなくなってしまう。必死に何とか山を越えると嘘のような晴れ。T君の証言通り山脈の東側は雪も少なく、一気に快適ドライブ。
遠軽で仕事を終え、網走に向かうと海が見えた。
オホーツク海!
と思ったのだが、海ではなくサロマ湖。さすがにでかい。
と、ここであることに気がつく。
カメラ忘れた!
仕方ないので携帯で写してみる。もうテンション一気に下がり、オホーツク海が見えても立ち止まらずひたすら仕事に専念。それにどうしても見てみたい流氷もまだ見えず。夜は温泉のあるビジネスホテル(ドーミーイン北見)に泊まる。
2日目もひたすら仕事。北見を後にし、今度は石北峠を越えるルート。雪山の道は行く前は緊張感があったが、雪が降っておらず視界良好。こうなると強気のドライビング。カーナビの予想到着時刻を40分以上縮める積極的な走りで旭川へ。
とまぁ、こんな感じで出張は終わるのだが、何と言っても流氷である。これが見たくて無理してでも網走まで行ったのに当てが外れた。ぜひ来月もう一度チャレンジしてみたい。その時はデジカメを忘れず、凄い写真を撮ってきたいものである。